就活を終えた4年生に、効果的な就活の準備、乗り越え方を聞く(前半)
ほとんどの大学生にとって最も大きな関心事の一つが就職であることは間違いない。
3年生の多くは毎年、夏になると焦り始め、周囲の動きを気にしながら、情報収集の取っ掛かりとして、短期インターンシップへのエントリーを始める。
毎年の恒例行事ではあるにしても、もっと効果的に就職につながる活動方法はないのだろうか?
今回、当社の学生記者が、すでに第一志望企業に内定を得た4年生にインタビューした。
語り手:法政大学4年 柳原 千尋さん
就活にあたっての企業の見方
~ これから僕らは就職活動を意識して学生生活を送らないとなりませんが、すでに、就活を終えられた先輩にぜひお話しをお伺いしたいと思います。自分も含めて、みんな未経験の分野でかなりわからないのではないかと。4年生から見て、3年生が見えていないと思えるところはどんなことでしょうか?
柳原:3年生がわかっていること、わかっていないこと。こうしたらいいっていうのは分かるけど、これは分かんないみたいな。あるいは、就活で、これならこういうふうにすればいいっていうのは知ってるみたいなものはありますか?
~ インターンシップなどに積極的に行って、とりあえず行きたい会社が決まったら、どんどん情報を集めてくるっていう事と、相談しながら、ちゃんとエンリーシートなどにアウトプットしていけるようになるっていうのは分かります。あとは、例えば財務情報を見て、あまりにもやばい会社には行きたくないですし、業界とか見てて世間的にあまり将来性がないって言われているところは外すようにはしてます。
柳原:そのIR情報はもう見れるのかな?
~ そうですね、IR情報は上場企業だったら公開してますし、IR情報の正しい使い方はよく分からないですけど、消去法で落とすスクリーニングに活用してます。例えばある業界に行きたいってなったら、その業界の企業の財務諸表を見て、利益率が異常に悪いやつとか異常にいいやつとかは抜くようにしてます。
柳原:確かにね。その現状の把握っていうところで切る切らないっていうのは多分できると思うんだけど、その現状だけじゃなくて、これからこういうことにお金を使いますとか、これからこういうところを伸ばしていきますみたいなのも書いてあるじゃん。そういうのはかなり就活の選考では使える分野で、会社のビジョンに自分で共感できるためには、そのビジョンを知らなきゃいけない。
会社のビジョンっていうのは、すごい大きな意味でいうと、企業理念だけど、それを具体的に将来10年後20年後にこうなっていきたいっていうのは、長期計画書みたいなのに書いてあって、それを見て、自分がどれをやりたいかな、なんでこれをやりたいのかな、って考えたりするときにに使う。
~ へ~ 、そういう使い方があるんですね。
柳原:使っている人がどれくらいるのかは、他の4年生に聞かないとわかんないんだけど。私はそれを見て、ああこういう会社になってくるとするならば、私はこの分野をやりたいとか。で、なんでこの分野をやりたいかっていうと、今私が大事にしてるところはこういうところで、こういう世の中にするところに共感できたからっていうのを結構考えて話すようにしているよ。
~ こういう世の中にするですか?
柳原:それは大きすぎるけど、共感できるかどうかという話。将来に共感できるか、目指してるものに共感できるかということかな。
志望動機と自己PRは重要
~ 企業にこちらから伝えるのはどんなことでしょうか?
柳原:実際に企業にこちらから話せる機会は少ない。志望理由と自己PRくらい。なので、ここをうまく話せばいけるっていうのが大体の流れ。イメージ的には、例えば環を二つ書いてみて、そのうち左は企業が求めること。右は自分が求めること。この両方が交わるところあたりを強調して話す。
左だけ話してもだめだし、右だけ話してもだめで、この交わっている部分を話せてるか。それを他の人に、聞いてもらってフィードバックをもらう事で、自分がどれくらいのバランスでしゃべっているのか分かるっていう。
また、さっきの2つの環の下に、別に環を2つ書いて、左が理論の環、右が感情の環とする。そのバランスをみて話すということが重要。私の場合は右の感動を重視する。映画を観てて、シーンにめっちゃ感動する。泣きたい時は泣く。
でもこっちの人は、ジョージ・クルーニーが出てるんだよとか、アカデミー賞ノミネートしたんだよとなる。人によって、どちらに影響受けるのかが違う。面接官によっても、対応を変えたほうがいいよね。面接官の人で左(理論)の人がいたら、かなり、左寄りに話す。
それに合わせないとダメで、そのうえでどっちの要素もバランス良く会話に取り入れないといけない。で私だったら、感情的になりやすいから、なるべく左を意識して話すようにしたり、第三者が聞いて大丈夫だよと言われるレベルに仕上げる。
左のバランスと右のバランスを保ちながらエントリーシートを書くことが重要。重視してやるっていうのが大きな枠組み。10社くらいやっていったらわかる。最初は絶対わかんないね。
~ それは誰が教えてくれたのですか?
柳原:重電メーカーのインターンシップで自己分析するっていうのがあったらしく、それを友達から聞いたので私も若干意識してた。でも、話そうと思っていることを実際には知り合いの社会人の人に相談すると、それはあなたらしくないとか、それは違うと思うと言われたり。例えば私はその時の自己PRで、私は人の気持ちが分かる人間ですとかそういう感じのもの、その具体例を書いたんですよ。そしたら、その具体例もあなたのエピソードとしては、もっといいものあるでしょと。
めっちゃ考え直して、もっと私らしいのが表せるのではと。結局サークル活動になったんですけど。とかっていう話になって私の場合は右上(自分が求めること)が薄かった。企業よりではなくて、自分寄りに戻すには人に私の話を聞いてもらって、私の事を知らない人でも、私の魅力かどうかが分かるというレベルになるまでフィードバックをもらって、ここにどんどん近づけるようにしていったというのが私が就活を終えて、見えなかったものが見えてきたタイミングです。
~ その手ごたえはどの瞬間に感じたのですか?
柳原:エントリーシートがバンバン通るようになってからです。
~ エントリーシートは何通くらい書くものなんですか?
柳原:私は20くらいですが、みんな50くらいやってますね。手書きもあるし、パソコンもあるし、その場で履歴書を出すっていうのもある。
~ 最初何通くらい書いていたのですか?
柳原:落ちたのは少ないんですけど、出す前にさっきの社会人の人に見てもらって、いっぱいダメだしをされました。
で、最終的に出して、大体15社くらいは通ったんですが、特に手ごたえを感じ始めたのが、エントリーシートの通過が困難な企業群に通った時。それが5月の下旬くらいが締め切り。それまでに、たくさん出してるし、1番最後のエントリーシートは、今までの中で1番難関のところ。そのレベルでも当たってるんだなっていう感覚がかなりありました。
最後は、食品業界に絞ってたので、求める人材が似ていて結構考えやすかったっていうのもあるが、理論、感情の部分がちゃんと伝わるかとかっていうのをまず自分でチェック。それを人に見てもらう。何をチェックすればいいか、こういうプロセスを経て自分で分かるようになった。やはり、第三者の目は重要だと思うよ。
軸のみつけ方
~ 自信を持って、もし就活前の学生さんたちに対して、これをやっておいたほうがいいよという事を伝えるとしたら、もし就活前に戻れるとしたら、どういった事をやろうと思いますか?
柳原:よく、先輩たちに言われてたのが、自己分析をちゃんとしたほうがいいということ。そこで、質問に答えていくと自己分析ができるというツールがあって、その何百問っていう質問に答えてやってみた。
でも、友達と見合わせてみると、友達も、結構似たり寄ったりの分析結果が出ていることが分かった。つまりどんなインプットをしてもアウトプットは結構似ているというか。ちゃんとした自己分析って何なんだろうと疑問になった。行きたい会社に行けた先輩に聞くと、自分の軸を見つける事だよと。自分の軸を見つけるって何?みたいな、そんな短期間で見つかるんですか?
でも私の中で、私の軸、何をしたいかっていうのは見つからなかったんですけど、どういう環境で働きたいかっていうのは見つかった。それはチームで働きたいということで、私はチームでアイディア出したりする環境が整っている会社がいいなっていうのがあって、それが最初に見えてきたことですね。
~ それが見つかったきっかけは?
柳原:やっぱり軸っていうと、自分が何をやりたいのかっていうのを相談していた社会人にめっちゃ聞かれて、何やりたいのっていうのが軸なんだと思った。で、私は何をやりたいんだろうみたいにめっちゃ考えたんですけど、人々が笑顔になる仕事がしたいとかしかなくて、まだぼんやりしてる。結構どの業界にもあてはまるし、どっちかっていうとそれよりももっと大事な軸って考えていくと、それ以上になんかやりたいことは人を笑顔にするということしかなかった。
私の友達は国際インフラをやりたいとか超ピンポイントで探していた。私はそうしかなかった。それはそれでいいんですけど、更に絞り込もうとするのは、私の中では輪郭を描ききることができなかった。考え続けてはいたんですけど、今後の人生の大半をそれぐらいのピンポイントで私のやりたいことは、今は見つからない。
今私の中にあるのは人々を笑顔にするというふんわりした輪郭しかない。これはこれでいい。他の軸があるのか探そう、自分が譲れない部分 何をやりたいかじゃなくて、どうやりたいかは明確に持っている。それを明確に持ってたのはサークルで代表をやらなきゃいけないことがあったから。
仕事って多分そういう時が大事なんだろうなって思っていた。皆でミーティングをする、そのわくわく感が重要。私は多分こういう環境だったら、何をやってもやっていける。人々を笑顔にしたい。誰かと一緒に仕事をするその環境の雰囲気みたいなのは、結構私の中で重要。
うまく伝えられないんですけど、その面接とか説明会とかで、ここは、会話してるって思えた会社は、明確に自分がその会社でミーティングしてるイメージがついたので絞り込んでいった。軸が見つかった上で、どういう環境だといいかっていうのが具体的に見えてきた。
~ その後に今内定した会社と出会うまではどういう変遷をたどっているんですか?
柳原:軸が見つかったのが、結構3月の後半、4月の頭ぐらいなんですよ。私は3月の時点で5社くらいにエントリーして、その時はホントに何の軸もなくて、出会ったからみたいな。規模感は大企業でないくらいがいいとは前から思ってた。軸と条件は違っていて条件というのは、絞り込むためにある。条件さえあれば一応エントリーはできる。それでとりあえずエントリーしてたんですけど、軸が決まってからは、自分がかかわる事で、自分が人に笑顔を与えられるという観点で選び始めた。
最後は、食品業界とか見てきたんですけど、どうもはっきりしなくて、相談に乗ってもらっている社会人に、ならば余命1年しかなかったら何やる?と聞かれた。私が窮して、思いつくイメージとしてカメラマンになりたいかな?と言ったら、たまたま知っているカメラ関係の会社があるということになって紹介してもらった。この会社もチームでやっていて、人に笑顔を与えるものだなと思ったので、巡りあった感じかな。
~ それはどの瞬間に思ったのですか?
柳原:HPを見た時です。
~ どのワードに響いたのですか?
柳原:社長の企業理念を見たんですけど、その時見てた業界の他の会社に比べて、すごく使わないワードを使う会社だった。勇気と誠意、愛とか夢を広げるとかそういう感じの事が書いてあって、おー不思議だ。言葉が丁寧で、どちらかというと固くない、柔らかい印象。私の感覚ですごくフィットする言葉だったので、おーと思った。
私がサークルで1番学んだ事が、人に対して誠実でかつ勇気を持つという事。いろいろあったけど、社会人に対しても、誰に対しても誠実で、誠心誠意話さなければいけない。話すためには、自分の意見を言うために、働く上でこれはかなり大事。あー分かるーってなった。そこからこの会社説明会いこうと思って、そこをぽちっとした。