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【学生取材レポート】ラオックス株式会社

取材・文:張 軒誠

取材先:ラオックス株式会社 社長室経営企画部 山崎様 山本様

業界:小売業 家電量販店 インバウンド消費

 

ラオックス株式会社は、1930年に谷口正治氏が東京都墨田区で創業した谷口商店を源流とし、80年以上の歴史を持つ伝統のある企業です。ラオックス株式会社は、2000年前後は店舗数の量的拡大を目指しおり、最大手の家電量販店として数えられていたこともあります。しかし、近年ではその業態から一変し、海外旅行客を主な客層とした総合免税店としてのブランドイメージを確立させました。現在、日本におけるインバウンド消費市場は成長・拡大をし続けており、この市場をどのようにとらえられているのか、社長室経営企画部の山崎様、山本様に様々な質問をさせていただきました。

 

―まずは会社の歴史についてお聞かせください。

 「2000年頃、わが社は『家電量販店の雄』と呼ばれるほど大手の家電量販店でした。しかし、その後ビックカメラやヨドバシカメラといった新興家電量販店との競争に敗れ、店舗数を大きく減らしていきました。しかし2009年に中国の蘇寧電器(現:蘇寧易購)の資本が入ったことをきっかけに、従来の体制を一新して他社に先駆けて総合免税店を開き、日本へ来日する外国人旅行客を主な客層とする方向に舵を切りました。わが社では当時から一貫して『日本製品の価値の再発見』をコンセプトに、技術・品質に優れる日本製の商品・サービスを海外のお客様に提供し、「ジャパン・プレミアム」を届けることに努めております。」

 

 「また、その他にもわが社では他社に先駆けて新しい事業に積極的に取り組んでおります。その一環として、現在ラオックスでは家電のみならず、お客様の意見を取り入れて様々な商品やサービスを取り扱っております。例えば、安全面において高く評価されている日本の医薬品などドラッグの強化、また日本産の高品質な生活雑貨、婦人靴などのライフファッション事業や、海外のお客様に日本文化を体験していただくためのレストランの運営、劇場等のエンターテインメント事業も行っています。ですので、以前の家電量販店のイメージを持っている方が現在のラオックスの新店舗にご来店いただいた際、その意外性に驚かれるかもしれませんね。」

 

エンターテイメント事業 (『ギア-GEAR-』EastVersion)

 

「また2011年以降、蘇寧の子会社となった後は雇用がより柔軟なものとなり、男性ばかりではなく女性の従業員も増えました。現に経営企画部の私たちも女性の比率が多いですからね。」

 

―では、2009年以降女性社員が増えたと仰いましたが、そのメリットは何ですか?

 「女性のほうが場の雰囲気をくみ取りやすいですね。例えば女性の場合、店舗でも雨の日にお客様にタオルを差し出すといったような気遣いが、一般の男性に比べてより自然にできますよね。このような細かい気配りがサービスの質を向上させているのです。」

 

 「また、接客の面でもメリットがあります。従来の家電量販店では男性従業員が中心で、いわゆる体育会系のセールスがとても多かったのです。しかしそれは女性客にとっては非常に話を聞きづらい環境で、女性従業員を増やすことで接客の質の向上に繋がっています」

 

 「もちろん女性の弱さもあると思いますよ。例えば女性ばかりの店舗は安全対策に欠けるので当然男性従業員も必要です。会社は一つの家みたいなもので、男女それぞれの役割があるのです。女性が一人でもいる部署では、どうしてもその女性社員に対する配慮をせざるを得なくなり、企業内の雰囲気が柔らかくなり、社員の働き方も変わります。」

 

―競合他社に対してはどういう考えでいらっしゃるのでしょうか?

 「基本的に他社と競争しようといった思いはありません。仮に日本におけるインバウンド消費市場で与えられるパイが一定であるとするなら、奪い合わなくてはなりません。しかし、日本のインバウンド消費はこれから明らかに拡大傾向にあるため、様々な企業がそれぞれの特徴を活かし、外国人旅行客の方々に日本製品の良さを知っていただき、結果として日本のインバウンド消費市場を成長させていけたらなと思っています。」

 

 「わが社はそういった競争を意識するよりも、いかに特徴的な店店舗づくりを進めていくかを意識しています。商品を開発する際、何よりもお客様の意見を取り入れています。例えば以前、日本の炊飯器といえば白かシルバーの色しかなかったのですが、お客様の意見を取り入れ、赤やゴールドの炊飯器を販売した結果、特に中国圏のお客様に大ヒットしました。このように入手した情報をいち早く製品に反映させた方が、従業員もよりのびのびと接客できるようになるのです。結果として、こういった手法で他社にない製品を販売することにより、多少高価だとしてもお客様に満足して買っていただけるようになるのです。」

 

―いわゆる『爆買い』の終息に関してどうお考えですか?

 「確かに商品を陳列するだけでお客様に商品を買っていただける時代は終了したと思います。従来の『爆買い』時は決まった商品を1回でまとめて購入されるケースが主流だったのに対し、現在はリピーター客の増加もあり、様々な商品を数回にわたって購入する方向にシフトしています。結果としてお客様一回あたりの購入金額は当時に比べて落ち着いていますが、来店客数は順調に増加しおり、今後もゆるやかに増加していくことが予想されていますので、終息と言うよりは『爆買い』の形が変化しただけだと思います。」

 

 

 「もちろん販売方法の工夫もしています。わが社では販売する際、単品購入よりもお買い得なセット商品を作り、レジ前で提案するなどの販売方法にも力を入れています。こういった提案をすることによってなるべく数量を多くお買い求めいただくようにしています。盲目的な購入が減っている今日では、企画と提案が重要になっているのです。」

 

―御社はどうしてもアジア人顧客が多いイメージがあるのですが、その他の国々の顧客に関してはどうお考えですか?

 「やはり親会社が中国の会社ということもあり、わが社の主要顧客はアジアのお客様です。しかし、欧米や他国からのお客様も一定数いらっしゃり、年間で約50カ国のお客様に来店いただいています。アジアのお客様は生活の中で使用する消耗品への購買意欲が高く、日本製品を多く買われるのに対し、欧米のお客様は日本の置物やお土産品等を購入されたり、茶道の体験をしたりとより日本古来の文化体験を好まれる傾向があります。営利企業として、わが社はより利益の上がる方、パイの大きい方を重点的にマーケティングしています。」

 

―御社が就職活動に臨む学生に対して求めるものをお教えください。

 「まず、わが社は社員の提案することは何でもやらせる会社です。なので、自分の社会的地位や年齢、性別、国籍など気にせず、果敢に自分の考えを表現する新入社員であってほしいです。例えば自分の上司の提案に対しても積極的に意見できるような人がいいですね。確かに生意気だと思われるかもしれないですが(笑)。しかしわが社では、基本的には手を挙げればやらせてもらえる雰囲気ですので、他人の目をはばからず、積極的に自分の意見を発信できる学生さんにぜひ来ていただきたいですね。」

 

 「また、わが社はまだ成長段階にあるので、現状に満足するのではなく、常に成長志向を持った学生さんも大歓迎ですし、わが社の雰囲気に合うのではないのかなと思います。逆に上司からの指示を待ち、そのすべてに何の疑問も抱かずに忠実にこなすような人はわが社には合わないのかも知れませんね。確かにこのような人は大企業では出世するのかもしれませんが、わが社では上司に自分のキャリアを決めてもらおうとしているような人はあまり向いてないですね。」

 

 「例えば、1階で待ち合わせていた時の景色と15階にあるこの会議室から見た景色だと随分違って見えたと思うのですが、やはり高みに上った後に見える景色は変わります。わが社としては現状に満足せず、欲を出してその高みに上ってみたい人にぜひ来てほしいですね。」

  

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取材を終えて、振り返ると、『革新』という言葉がしばしば脳裏に思い起こされた。他社に先駆けて新たな市場を開拓しようという強い意志をひしひしと感じた。やはり多様な国々の顧客を対象とするビジネスにおいては柔軟な新しい発想が求められるのであろう。社員とともに会社も不断に成長を続けるラオックス。取材を受けていただいた方々から溢れんばかりの成長志向が感じ取られ、自分も努力を続けようと決心させられるようなエネルギーに満ちた取材であった。