東立電機株式会社編・第2話「ヒーターの画期的な新製品を考案せよ」

 

 

 

東立電機株式会社編・第2話「ヒーターの画期的な新製品を考案せよ」

◆文:菰田将司

東立電機 ミンスタ (3)a

 

保守的なヒーター業界に新風を巻き起こす東立電機株式会社と学生とがコラボしながら、ヒーターの新提案を行っていく「東立電機株式会社の新製品を考案せよ」ミッション。

 

今回はいよいよ学生達が考えた新製品のアイデアを加藤貴久社長にプレゼンしていく!

 

 

今回のミッションに参加する学生

 

城間純平君

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城間純平君 (法政大学4年)

 

立岡佑亮君

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立岡佑亮君 (慶応義塾大学2年)

 

 

佐藤光 (2)

佐藤光(文化服装学院2年)

 

 

 

プレゼ1、一人暮らし男子からの熱い要望、カップラーメン専用湯沸し機

 

 

加藤社長、カジュアルな格好ながらも、威圧感があります!

 

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対するトップバッターは城間純平くん(法政大学)。

城間純平

 

城間:ぼくが考えたヒーターの新製品はカップラーメンの湯沸かし器です!

 

 

学生の一人暮らしと言えば、カップラーメンは不可欠。でも、やかんや鍋でお湯を沸かすと、お湯が残ったり、足りなかったり。お金がない学生なら、そんなムダも節約したいと。

 

そこで考えたのが、カップに目盛りがついていて、ちょうどカップラーメンにぴったりのお湯を沸かすことができる装置です!

 

目盛りにはどん兵衛ラインとか、カップヌードルラインとかがあって、そこにあわせるだけでいい。水を入れて装置にセットしたらスイッチを入れるだけで短時間で沸騰する。他にも分量の計れるカップをセットすることができて、コーヒーやスープなども適量で作れる。

 

ターゲットは一人暮らしで節約家、そして面倒くさがりの人。課題は、そういう層を狙った商品なので、値段は低く抑えたい。

 

イメージとしては3000円〜5000円くらい。あと、学生が興味を惹かれるようなオシャレな外観のものにしたいと思っています。家電店ではなく、ヴィレッジヴァンガードのような雑貨店でも置いてもらえるような

 

 

 

加藤社長:ウォーターサーバーに近いかな。ウォーターサーバーにも温度設定ができるのがあるけれど、赤ちゃんのミルクを作るときに便利なんだよね。そういうことを考えると、カップ麺に特化したものもアリ。

 

ただ現実的に考えると、カップ麺程度だと、一度に200CC位しか沸かさないから、あまり出力の大きなヒーターは使えないな。しかし、出力が小さいと沸騰までの時間が伸びてしまう。そこがネック。そういう装置なら沸騰するまで早いほうがいいよね。早ければ、それが売りにもなる。

 

 

どれだけ水を使うのか、何分で沸くのがいいのか。そこを詳しくリサーチして適正値を出せば、ヒーターの出力と大きさが決まる。それが決まると外装が決まる。ヴィレッジヴァンガードのようなところに置くことを考えているのなら、そこは拘りたい。

 

あと、カップ麺なら、フタ抑えが欲しいね。待っている間にいつの間にかフタが空いているの、イヤなんだ(笑)

 

もうちょっと練ったアイデアにする必要があるね。

 

 

 

 

プレゼン2、ターゲットは女子。缶コーヒーをずっと温かく飲める保温ポーチ

 

加藤社長の反応を探るようにして、「実はもう1個考えています!」とはにかみながら、もう一枚のフリップを取り出す城間くん。

 

城間純平 (2)

 

 

城間:寒い時期、ついつい買ってしまうのがペットボトルのお茶や缶コーヒーです。しかし、買ってすぐ飲みきらないと、冷めてしまって台無しになってしまう。肉まんみたいな温かい食べ物とかも同様です。

 

そこで、ヒーターを内蔵して保温ができるポーチを考えました。二重構造にして遮熱し、中に入れたものを長時間温かく保てる。また外側のデザインも、女子が喜んで使ってくれるものにします。

 

 

ポーチって、女のコはみんな持っているもの。だから、女子に訴求力はあると思います。

おしゃれアイテムでもあるので、ブランドが必要かもしれません。どこかのブランドとタイアップして、人気のモデルに使ってもらったりすれば、注目されると思います。

 

 

課題は、女子用にかさばらず軽いものにしたいので、ヒーターが入れられるかどうかと、長時間保温できるのかどうか。こういうのでオシャレなのはないと思うので、見込みはあると考えます」

 

 

加藤社長:「う~ん、常時発熱させるのは、電力を使うから難しい。それが持ち運びするものならなおさら。発熱させるよりそれをキープするほうが電力を使う。

だから予め温めておいて、それを持続させるようにしたほうがいいかも知れない。

 

 

家庭用電源や、例えばUSBとかから繋いで発熱させる、なんてことは構造上可能。二重構造で冷めにくい構造をしているんだから、温めたい時にスイッチを入れる、というのはどうだろう。

 

 

他にどんなものが入れられたら便利かな。肉まんは、買ったらすぐ食べるだろうけど、弁当やスープ、手袋。そういうのが入れられれば、応用範囲は広がる。冬場がメインだけども、夏には普通のポーチとして使えれば、一年通して使える商品になるね」

 

 

 

プレゼン3、バーベキューをもっと手軽に!炭加熱機能付きバーベキューコンロ

 

 

城間:実はもう1個考えてきたんです!

 

 

僕は以前バーベキュー場で働いてたので、炭に火をつける大変さを痛感しています。炭はなかなか火がつかず、しかも温度を維持するためにはずっと風を送り続けなければならない。

家族が楽しんでいる脇でお父さんが炭を扇ぎ続けている、なんて風景も見かけたりします。

 

 

そこで、炭に火を入れ、更に熱をキープできるバーベキューコンロを考えました。大体、バーベキューに行ったら、火をつけるのは男の仕事。

 

必死で火をつけている後ろで、女のコたちがまだーって待っている。それを3分でできたらカッコいいじゃないですか。それは家族でも同じ。お父さんカッコいいって。

 

 

仕組みとしては、ヒーターが内蔵されていて、炭がすぐ火がつく温度になっているものです。

 

 

課題は安全性とユーザーフレンドリーな取り扱い。高温になるでしょうから、冷めてから取り外しができるような仕組みとチャイルドロックは必要です。

 

今は楽に優雅にバーベキュー、というのは流行っています。そういうニーズにも合致するのではないでしょうか」

 

 

 

加藤社長:これはなかなかおもしろいね。今は屋内でもやるようなので、それなら電源は引っ張ってこれる。今まで障害だったのは、屋外には電源がなかったから。取り扱いについても、洗うことについては問題なし。

 

となると問題は炭。ヒーターに置くだけでは火はつかない。あと風を送り込む装置も必要かな。

 

家内がお茶をやるんだけど、茶釜の下の炭になかなか火がつかない。ガスコンロで炭に火を当てても、それでも難しい。

 

だから常に同じ熱を与えられるヒーターは炭火に向いているかもしれない。炭おこし用のヒーターを別モノで開発するのもあり。

 

 

 

提案4「食卓に幸せを」その一。匂い無し、安全に使える電気バーナー

 

 

城間君のプレゼンが終わり、場の緊張が少し解れた。続く2番バッターは立岡佑亮君(慶應大学)。

立岡佑亮

 

 

 

立岡:ぼくが考案したのは、電気バーナーです。

 

 

東立電機編 ミンスタ (2)

 

 

肉や魚をガスバーナーで炙ったり、プリンのカラメルを焼く料理がありますが、それがとても気になっていました。

 

料理の匂いに、ガスの匂いが混ざってしまうのではないか。そうなったら、せっかくの料理が台無しです。また、ガスは取り扱いに充分注意しないといけません。

家庭のキッチンだと、付近に可燃物がたくさんありますし、服に引火する可能性もあります。

 

そこで、ガスバーナーのように匂いを出すことなく、また危険も少ない、ヒーターの熱で食材を炙るものを考えました。スイッチはオン・オフだけで操作は簡単。できればコードレス、充電式にしたいです。外見は木炭を意識しました(笑)。

 

 

ターゲットとしては炙る料理が多くありそうな高級料亭なども考えています。

 

 

加藤社長:「確かにあのガスバーナーは気になっていた。ヒーターでは匂いが発生しないので、できたらニーズはあると思うが、ヒーターだと炙るほどの熱を出すのは難しい……。

 

ウチの主力商品のシーズヒーターは、熱源のニクロム線を金属管に入れて衝撃に耐えられるようにしたもの。

 

炙るのに使うなら、700〜800度に上げたニクロム線をむき出しにして、その熱を網目に移して直に食材に当てる、というのであれば考えようはある。

ただ、炙るという調理法は、炙って旨みを閉じ込める、というものだから、短時間でできるようにしないといけない。あとは使う人が誤って触れてしまわないように安全性を確保することかな。

 

 

 

提案5、「食卓に幸せを」その二。一人暮らしでも簡単蒸し料理器

 

立岡:ぼくも、あともう一つ考えてきています。

 

最近、タジン鍋に人気が集まるなど、蒸し料理が注目されています。蒸し料理の特長は、茹でたら水に流れ出てしまう栄養素も全部摂取できること。自分はよく料理をするので、蒸し料理もやりたいのですが、セイロを用意して水を張って、その下から火を当てたりと手間がかかります。

 

そこで、卓上で簡単に蒸し料理ができる、一人用のヒーター付き蒸し器を考えました。

 

東立電機編 ミンスタ (1)

 

この装置はスイッチ一つで蒸気を発生させて食材に蒸気を当てることができます。また従来は下から当てるだけだった蒸気を、横や上からも当てて、効率よく美味しく蒸し料理ができるように工夫ができればと考えています

 

加藤社長:セイロに関してはもう同様のものがある。例えばバイキング形式の料理を温める装置とかは、同じ仕組み。下からヒーターでお湯を温めて、湯気で料理を保温している。だけど、蒸し方に注目したのはいい。

 

ダッヂオーブンなんかは上からも熱を与えるし、そのほうが効率がいい。だから湯気は下からという常識は捨てたほうがいい。調査して、最も効率がいい熱の循環方法をできる装置を作る。蒸し加減の調節もできるような商品になれば、実用新案として世に示せるかも。

 

日本はガスがメインだけど、外国は電気メインだから、電気を利用したキッチンツールは、日本より外国のほうが多い。ヨーロッパのほうには、もうそういう新商品があるかもしれない」

 

 

 

提案6、オシャレを追求。パンの焼き加減が見えるトースターと、オフィス作業の味方ヒーター内蔵マグカップ

 

 

2人のプレゼンが終わったあと、前回は参加できなかった佐藤光さん(文化服装学院)もアイデアを考えてきてくれたということでプレゼン。

佐藤光 (1)

 

佐藤トースター全体がスケルトンになっていて、赤くなっているのが見える。そして中に入れたパンが焦げていく様子も見えるのも楽しいと思います(笑)。ヒーターの線がデザインされていたりしたら、熱が冷めても可愛いく、見た目も楽しいと思います。

 

 

 あと、マグカップを置いたら温めてくれるヒーターを考えました。『温める』ということをもっと手軽にしたいんです。ただコーヒーを温めるだけにレンジまで行くのは、なんだかワザワザ感が強くて。デスクから動けない仕事をしているような人は助かるのではないでしょうか

 

 

 

 

加藤社長:おもしろいね。ただ、同じようなコンセプトの商品が発売されていたりするんだよね。ツインバードさんから鏡張りのオーブントースターが発売されているが、これは料理している自分を見て楽しむ、というもの。

パンが焼けていくのが楽しみという人もここにいるのだから、潜在的なニーズはあるのかもね(笑)。

 

 

 

でも、ヒーターもデザインするなんていうのは今までにない発想。どうしても日本の家電ショップに行くと、日本製と中国製のありきたりな物しか無くて気を惹くものがない。だからそういうアイデアは取り入れたい。

 

 

カップを温めるヒーターは、USB接続のものなどは既に製品化されているものが多い。専用カップとセットだと作る側は楽。どんな材質にも対応できるようにするとコストがかかってしまうから。

 

 

……アイデアとしては既に商品化されているものもある。だけど興味を惹かれないのは『欲しいのに欲しくない』理由があるんだろうね。今、ワザワザ感という言葉があったけど、そういうところが理由なのかも。どうしたら欲しくなるか。そこを考えることが大事」

 

 

 

 

プレゼンを終えて

東立電機 ミンスタ (2)

 

加藤社長:みなさん、ありがとうございます。プレゼン、とても楽しめました。若い感覚っていいなって。

 

ぼくの思いとしては、市場調査とかセールスプロモーションとかを重視して、ある程度のニーズが見込める、というガチガチのプレゼンや結論が欲しいわけではない。

 

数を見込めることは重要だが、それが全てではない。数が売れなくても、それに魅力を感じてくれる人はいる。自分たちの納得のいくモノのを作ってそれを売る。それがいい時代になっている。

 

究極をいったら、思いつき先行でいいんです。中小企業ならそれでいい。 まず思いつき。それから市場に似ているものがないかリサーチ。次に、自分がそれを欲しいかどうか。もし欲しくないならそれは何故か。

それを自分のアイデアに組み入れていけば、どんどん完成度の高いモノになっていくと思います。

 

 

ということで、今度は、皆さんで蔦屋家電などおしゃれな家電やを一緒に見学しに行きましょう。ヒーターの活用のされ方など、以外なところに存在していたり、皆さんにも驚きがあると思いますので。

 

果たして今回のプレゼンから商品化されるアイデアはあるのか。次回、オシャレな家電屋さんで洗練された家電製品を見学に行く!の巻。

 

 

 

株式会社ジョブコム編 第1話 「学生に出された2つのミッション」

 

ミンスタ オビ

株式会社ジョブコム編 第1話 「学生に出された2つのミッション」

◆文:矢本祥子 /動画制作:MovieAction

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学生が常識にとらわれない柔軟な発想で、企業の悩みやミッションに取り組む「ミンスタ」。

 

若者から飛び出す思いもかけないアイデアが、企業に新企画をもたらし業界を動かす可能性もある。学生たちにとっては、新感覚アルバイトでもあり、「社会に出て仕事をする」疑似体験の場、スキルアップの貴重な機会でもあるのだ。

 

 

今回のミッションは、総合人材サービス会社である株式会社ジョブコムから。ズバリ「登録スタッフ数を増やしたい!」である。

 

 

う株式会社ジョブコム 看板

 

 

設立20年目を迎えるジョブコムは、名古屋が本社の事務系の人材派遣会社。

その他東京、福岡に拠点を置いて、順調に業績を伸ばしてきている。

 

 

派遣会社の仕事は、働く人を探している「派遣先企業」と働く場を探している「派遣スタッフ」を結びつけること。

 

 

提携している企業から信頼してもらうためには、いかに企業が求めている人材を提供できるかがポイントとなる。

 

人材とは、つまりジョブコムに登録してくれる「派遣スタッフ」だ。働きたい人にとって魅力ある企業の仕事を取り揃えるのと同様に、優秀な人材の確保も大切な仕事なのだ。

 

この「登録スタッフ数をどうしたら増やせるか」というテーマに、学生の力を借りたい。ここから本プロジェクトは始まった。

 

参加者

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(前列左から)ジョブコム・櫻井梨絵さん(コーディネーター)・山村欣矢さん(常務取締役)・齋藤理恵さん(営業グループ 人材派遣ユニット)

(後列左)加藤俊(ミンスタ)

(右端)ファシリテーター石塚祐介(株式会社Ymix 代表取締役)

 

 

学生 (学年は2016年3月時点のもの)

 

 

岩廣映璃(イワヒロエリ):跡見学園女子大学 マネジメント学部マネジメント学科1年

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篠原瑞季(シノハラミズキ):早稲田大学 文化構想学部 多元文化論系2年

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鈴木太陽(スズキタイヨウ):日本大学 商学部 2年

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永島郁久雄(ナガシマイクオ):東洋大学 経済学部国際経済学科1年

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永山海斗(ナガヤマカイト):東洋大学 経済学部 国際経済学科1年

株式会社ジョブコム (2)

 

 

◆〝派遣〟のイメージって悪くない?

 

株式会社ジョブコム ミンスタ (2)

 

「みなさんは、〝派遣〟と聞いてどんなイメージを持っています?」

 

開口一番、ジョブコム株式会社常務取締役の山村欣矢さんは学生に訊ねた。

派遣切りや年越し派遣村など悪い印象もある〝派遣〟という働き方。学生の率直な印象を聞きたかったという。

 

株式会社ジョブコム ミンスタ (4)

 

「アルバイトで数日、派遣で働いたという友だちはいますよ…」

 

「登録はしたことあるんですけど、年齢が若いこともありなかなか仕事がまわってこなかった。あまりいいイメージはないですね」

 

「ホテルの中のレストランに毎回派遣される仕事をしていたんですけど、その都度違う職場なので人間関係が築けなかった。それが残念だったことでしょうか」

 

 

「みなさんが経験されているのは、単発のものが多いようですね。うちは、派遣の中でも事務系。派遣といってもいろいろ種類があるんです」と山村さん。

 

 

 

派遣会社によって、技術系に強い、製造系がメインなど、それぞれ得意とする職種、専門分野が違う。

 

 

ジョブコムは、事務系に特化した会社だ。

一般事務、営業事務、貿易事務、経理など。企業の中に入って、営業アシスタントとして資料を作成したり正社員のサポートをする仕事が多い。比較的長期でだいたい3ヶ月毎に契約更新をし、長い人だと3年以上同じ職場で働き続けている人もいる。

 

 

 

◆派遣システムのしくみ

株式会社ジョブコム (1)

 

 派遣システムのしくみを簡単におさらいしよう。

 

「派遣先企業」は、ジョブコムと労働者契約を結び、業務を依頼する。

「派遣スタッフ」とジョブコムは雇用契約を結び、給与はジョブコムから支給。福利厚生などもジョブコムがバックアップする。ただし「派遣スタッフ」に対して、仕事に関する業務の指示をするのは「派遣先企業」となる。

 

 

 

ジョブコムの仕事としてはまず、派遣を必要としている企業を開拓することがあげられる。常に、ネット上などで同業他社の情報をチェックし、営業をかけ、「派遣先企業」を増やす努力を行っている。

 

ジョブコムでは、常時150〜200件くらい、「派遣先企業」からの仕事の依頼があるそうだ。

 

 

 

一方、企業が欲しい人材、ニーズもさまざまなので、その多様な要望に応えるべく幅広い人材を取り揃えるために、「派遣スタッフ」の登録数を増やす施策も常に行っている。

 

ネットなどで仕事の情報を流し、それを見て「この仕事をしたい!」と興味を持ってくれた人には、銀座と新宿にあるセンターに直接、登録に来てもらう。そこで、「派遣スタッフ」の希望条件をコーディネーターがヒアリング。「派遣先企業」の業務内容の確認を行い、職場訪問などを経て、うまくマッチングすれば契約成立、派遣での仕事が開始となる。

 

 

 

 

◆登録者数を増やすには?

ミッション依頼

 

 

今回、ミッションは二つある。

 

ミッション依頼1

 

一つ目は「登録スタッフ数を増やしたい!」だ。

 

 

「人材を探している企業が200社くらいあっても、登録をしに来てくれる人が数十人では、いくら仕事を紹介したくてもできないですよね。その逆もしかりで、両者のバランスがとても大切なんです。今、だいたい200社くらい案件がある中で、現在、登録者数はだいたい月に200〜250人くらい」

 

 

派遣で仕事を探している方は、平均して3〜4社重複して派遣会社に登録している。その上で、いくつか紹介された仕事の中から、自分の条件に一番合うものを選んで就業している。この3〜4社の中に、中堅どころであるジョブコムが入るための施策を考えてほしい、というのが一つ目のミッションだ。

 

 

 

◆一番に相談してもらえる会社になる

 

ミッション依頼2

 

 二つ目は、「派遣先企業」からも「派遣スタッフ」からも、一番に相談してもらえる会社になること。

 

 

「ジョブコムの理念として、社員みんなで作ったミッション、ビジョン、モットーがあるんです。アイデアを考えてもらう前提として、知っておいてくださいね」

 

 

 

 ★MISSION/私たちの使命

  〝自分らしい生き方〟を、一緒に、世の中へ。

 

 ★VISION/私たちの目指す姿

   あなたに寄り添い、一番に相談される存在として、人と企業のこれからを応援する。

 

 ★MOTTO/私たちの行動規範

   ひとに、しごとに、まっすぐに。

 

 

 

山村さんは続ける。「売上で一番になることはすぐには難しいが、人と人との関係、信頼を得ることにおいて、ジョブコムが一番になることは可能なんですね。『まずはジョブコムの人に相談しよう』と思ってもらえる会社を、皆で目指しています。

 

それは、働いているスタッフからの相談もそうだし、企業からもです。いくつかの派遣会社からスタッフが入っている現場で、たとえば『来期にこんなプロジェクトを予定していて、こういう人を派遣で雇おうと思っているんだけれど…』といった話を、担当者から一番に相談してもらえれば、我々は、他社よりも情報を早く受け取れたことで、先手を打つことができます」

 

 

これは、ジョブコムの営業担当が今、知恵を出し合って開拓している領域。マナーや知識、情報収集、マインドといった項目をあげて、喧々諤々議論を深めているところだ。

 

「一番に相談してもらえる会社なる」ためには、何をしていけばいいだろう?それを考えてもらうのが、二つ目のミッションだ。

 

 

 

◆これまで実施してきた施策

 

登録スタッフ数を増やすために、大手や同業他社と同じことをやっていても仕方がない。差別化するためには、どこもやっていないこと、未開拓な部分を掘り起こすことが課題となる。

 

 

櫻井梨絵さん ジョブコム

 

「なにはともあれ、登録に来てもらうことが大事なんですね。すべてはそこから始まるので。考え方としてはいわゆるマーケティングと同じです。ジョブコムが持っている仕事を、どう求職者にアピールするかに尽きます」とは、コーディネーターの櫻井梨絵さん。

 

「これまでに、交通費の支給やノベルティの配布、また地方への出張登録会や土曜、夜間の登録会などを行ってきましたが、費用対効果を見て、ほぼ廃止したりしています。その代わりに、今は、対応力、サービス力の向上に力点を置いています。

たとえば、スタッフをエレベーターまでお見送りしたり、面談の際のヒアリング力を高めるためのスキルの共有やMTGをこまめに行うなどしています」

 

 

また、広告対策においても、大手や競合他社と違った手法で行うことが重要だ。年齢が高くても専門スキルを持っているといったターゲット層の絞り込みや、これまでとは違う課金型の広告媒体を利用してみるなど、また、メールなどのシステムを駆使して求職者へのアプローチ回数を増やしたりと、さまざまな工夫を凝らして、来社へとつなげている。

 

 

 

次に、営業グループ 人材派遣ユニットの齋藤理恵さんが、ジョブコムがベンチマークしている企業とその会社の取り組みについてお話してくれた。

 

 

斉藤理恵さんさん ジョブコム

 

「ジョブコムと同じくらいの規模のW社が業績を伸ばしている要因を分析すると、W社は『人と人のつながりはアナログであるべき』をテーマにし、派遣先企業と派遣スタッフとのコミュニケーション量が圧倒的に多いんです。

 

営業の業務範囲が広く、その代わり一人が担当しているスタッフ数はジョブコムよりも少ないので、おのずと細やかな対応ができているようです。

企業側ともスタッフ側とも関係性強化に力を入れていて、それが売上につながっているんですね。

 

また、B社は、主婦の方に特化して就業支援を行ってきた会社なんですが、TV番組などメディアを上手に活用し、自分たちの事業をアピールすることで、派遣先企業、派遣スタッフの新規獲得に結びつけている会社もあります」

 

 

 

◆学生たちに期待したいこと

 

株式会社ジョブコム (3)

 

 最後に山村さんから一言。

 

 

山村欣矢さん ジョブコム

 

 「人材サービス業は、最終的に人対人。すごく泥臭いところがあるんですね。嫌なこともたくさんあるし、でも、その分嬉しいこともいっぱいある。

ほわっとしたきれいな感じのアイデアや、ジョブコムに対して気を使った提案はいらないです。失礼のないように、とかね。本音で忌憚のない、むしろ失礼なくらいの意見を聞きたいと思ってます。

 

遠慮しないでください。あとは、スタッフ側と企業担当者側の両方の立ち位置を想像しながら考えてもらえれば。企業側の気持ちをイメージするのは難しいとは思いますけれど」

 

 

 

 

◆アイデアは100個は出そう!

石塚氏 Ymix

ファシリテーターの石塚祐介さんから、アイデアは少なくとも100個以上出そう!また、マーケティング用語「AISAS(アイサス)」を意識して、順番に出していこう!といったお話があり、学生のブレストに突入。一部の発言を抜粋しておく。

 

※Attention(気づく)→Interest(興味)→Search→(検索)→Action(行動)→Share(情報 共有)

 

→石塚さんは、今はSearch(検索)はCheck(チェック)、Share(情報共有)はSpread(拡散)

ではないかと発言していた。

 

 

「派遣会社で重要なのはクリーン性かもしれない。安心感がないとこわい」

 

「TVなどスコミに載っているかどうかは大事?」

 

「このターゲットを取り込みたいから、このアプリを使っている人向けにアプリの下の広告とか」

 

「口コミ、やっぱり友だちからの情報が、一番信頼性が高いなぁ」

 

「渋谷の交差点の大画面って、つい時間があると見ちゃわない?」

 

「飲み物に付けられないかな?キャップにめくるシールを見て登録に来てくれた人にプレゼントとか」

 

「LINEのスタンプ作戦。スタンプが欲しいから、一度は登録するよね」

 

「スタップ取ったら、すぐに削除してしまうけど…」

 

「私は、罪悪感があってブロックできなかったりするよ」

 

「電車のつり革とか、何も考えずに見てる気がする」

 

「王道だけど、ハローワークなど安心感のある場所にフリーペーパーを置くのはどう?」

 

「ドラマで女優が来ていた服がすごい売れたり。ドラマ内で、俳優がジョブコムと絡むとか」

 

「感動するCM。何をしているかわからないものも多いけど、気になっちゃうよね」

 

「ジョブコムの社員など、中の人がどういうことをしているかを発信するのは?信用にもなる」

 

「ジョブコムのサイト、きれいだよね。サイトってけっこう大事。安心感が違うような」

 

「それって、Interest(興味)の先の話かも」…

 

 

 

石塚さんからは「PRなど広告ではないアイデアも考えてみて。B社がメディアに取り上げられている理由を考えてみてもいいかも。

今、PRとして取り上げられやすいのは、シェアリングエコノミー、社会貢献、地方活性の3つなんです」と助け舟が。

 

 

今後、日をあらためてアイデア会議が行われる。次回は、プレゼンの様子をお届けする予定だ。

 

 

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株式会社アプリ編 ‐「波乱の学生MTG編」第2話

◆動画制作:MovieAction

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前回、リゾートバイト求人サイト「はたらくどっとこむ」運営会社の株式会社アプリさんから出されたミッションに、学生たちはどういった答えを出すのか、波乱のMTG編!

ミッション:「夏休みにリゾートバイトを利用する学生を200%増やすアイデアを考えて」。

 

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株式会社アプリ -「リゾートバイトに参加する学生を200%増やすアイデアを考えよ!」第1話

 

ミンスタ オビ

株式会社アプリ編  第1話 「リゾートバイトに参加する学生を200%増やすアイデアを考えよ!」

◆文:小林宥太 /動画制作:MovieAction

obi

 

企業からのミッションに学生が挑戦する新感覚アルバイト「ミンスタ」。
 
今回のミッションはリゾートバイトに特化した求人サイト「▶はたらくどっとこむ」を運営している株式会社アプリさんからのオファー。

 

第1回の初回MTGは3月4日の夕方、株式会社アプリの本社にて開催されました。

新宿駅からほど近いオフィスに集った9人の勇者(学生)たち。

 

アプリさん パーティー画面

 

ここからどんなミッションが発表されるのか、初対面で緊張している学生が多い中まずはアイスブレイクとして学生の自己紹介からプログラムはスタート。1人ずつ軽くご紹介しましょう。

※動画での学年の表記は2016年3月現在となっています。

 

①鶴岡翔子さん

鶴岡翔子さん

上智大学総合人間科学部4年生。NPO法人でのボランティア活動の傍ら、ゼミでは副ゼミ長をつとめ、社会福祉を勉強中。メガネがチャームポイント。

 

 

②北本優葉さん

北本優葉さん

法政大学社会学部2年 大学ではウェブメディアについてのゼミに所属。文章を書くこと、写真を撮ること、何よりも新しい世界を見ることが大好きだそう。マスコミ関係について勉強中。

 

 

③大澤創太くん

大澤創太くん

慶應義塾大学文学部2年生。趣味はカフェ巡り、Twitterという慶応ボーイ。

 

 

④中村真也くん

中村真也くん 法政大学経営学部2年生。モットーは情熱をもってやることということですが、自己紹介は控えめ(笑)某ベンチャー企業で長期インターン中。

 

 

⑤中沢あずささん

中沢あずさ さん 東京外国語大学中国語学科4年生。上海への1年半の留学で中国語はペラペラ。英語も話せるトリリンガル。香港の某自動車メーカーにてマーケティング職のインターンを経験。快活な印象。

 

 

⑥坂田悠人くん

坂田悠人くん 慶應義塾大学環境情報学部4年生。大学では心理学とフランス語を勉強中。学外では、国際ロータリーのRotexという留学生支援団体の代表と、国際平和映像祭での学生代表をしている慶應ボーイ。

 

 

⑦盛合里江さん

盛合里江さん

東京外国語大学英語専攻4年生。留学、営業のインターンなど精力的に活動。

 

 

⑧町田大河くん

町田大河くん

法政大学経営学部2年生。学外ではヒッチハイクを日本に広めることをミッションに掲げる学生団体、AdverHikerの代表をつとめる。学内では、商品企画と消費者行動を通じたマーケティングを行うゼミに所属。

 

 

⑨城間純平くん

城間純平くん

法政大学社会学部4年生。学生ながらミンスタの立ち上げにも参加している。モデル活動もしているイケメン大学生。

 

 

 

本企画に参加したきっかけを話す学生から普段の学生生活での活動内容、趣味やアルバイト、インターンの内容などを話す学生まで様々ですが、大学1年でベンチャー企業での長期インターンシップを経験している学生や、留学経験のある学生など積極的に活動している学生が多く参加しているよう。

 

今後のアウトプットにも期待ができるメンバーが集まっています。

 

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自己紹介後はいよいよ、株式会社アプリの社員から今回の企画概要説明へ。

 

 

司会を務めたのは主任の大原さんと藤根さん。まずは株式会社アプリの会社説明から。

アプリ 大原さん 藤根さん

 

 

◯14年目を迎える派遣会社

 

◯リゾート地へのアルバイト派遣に特化

 

◯様々なバックグラウンドを持った社員が多数在籍

 

 

会社概要を要約するとこういうイメージ。オフィス内にフィギアも置かれている「アプリレンジャー」というリゾートバイトのマスコットキャラクターがスライドの随所に登場して可愛らしい。

 

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アプリレンジャーのLINEスタンプも好評発売中だそう。ぜひチェックしてみてくださいね!

 

※アプリレンジャーのLINEスタンプ

https://store.line.me/stickershop/product/1154434/ja

 

 

 

ここからは若手の藤根さんにバトンタッチ!!!

 

前職はサッカーの先生ということで、社員さんのバックグラウンドが様々だ、という大原さんの説明を思い出します。

 

 

「自称優しいお兄さん」、藤根さんは今年33歳で、自身も学生時代にアプリ経由で働いたことのあるリゾートバイト経験者だそう。

 

実際に働き始めるまでの流れの概要や、藤根さん自身の経験談を交えつつ、少しずつミッション参加学生たちの中にもリゾートバイトのイメージが出来てきたでしょうか。

 

 

最後には昨年夏に働いていただいた学生スタッフさんの意見が紹介されました。

 

 

◯リゾート地で周りに山や海以外何もないのがいい。休みの日は温泉に入ってゆっくりできる。

 

◯アプリでのバイトが初めての人も多く、未経験も可の職場もある

 

 

他にも様々な生の意見を知ることができました。(座談会の様子の詳細はこちらから。)

 

 

 

さて、再び大原さんにバトンタッチ!!!ここからいよいよミッションの説明です。

 

 

「2016年、リゾートバイトに参加する学生を200%増やすアイデアを考えよ!」

 

 

 

夏の学生スタッフの募集案の企画及び運用が今回のミッション。型にはまらない新しいアイデアが求められています。匙は投げられました。ミッションスタートです。

 

株式会社アプリ ミッション

 

しかしそこで、さていきなり企画を考えてください、とならないところがこの「ミンスタ」の良いところ。ファシリテーターの石塚さんによる講義の時間が取られています。

 

石塚裕介氏

 

ここで石塚さんからまず、最終的なアルバイト参加者を増やすためには、「集客」と「転換」の2つの施策が考えられる、とのアドバイスが入ります。

 

「集客」とはどうやってより応募者を集客するかを考えること、「転換」とはどうやって応募から実際の就業率を高めるかを考えること。

 

 

最初に軸を持って考えることでよりよい施策をアウトプットできる。石塚さんの指摘から「集客」チームと「転換」チームのチーム分けが完成。いよいよ企画のワークがスタートしました。

 

 

とはいえまだまだ打ち解けきっていない様子のメンバーたち。まずは連絡先交換をしつつ、改めて自己紹介をして仲良くなることから始めます。

ライングループを作ったりFacebookを交換したり、用意されたお菓子を食べながらざっくばらんに話しています。

 

 

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集客チームは比較的和やかな雰囲気で話しつつ、学生だけで色々とアイデアをブレストしている様子。

 

 

一方の転換チームは、ライン交換もそこそこにアイデアを個人ワークで考え始める真面目さが目立ちます。アプリ側の社員にも、積極的に質問をしながら概要説明では得られなかった情報のインプットに集中している様子。

 

 

メンバーの一人が発言した「種を蒔いておいて、そこにみんなで水をあげて花を咲かせましょう」というフレーズが印象的でした。

 

とはいえチームワークはまだまだこれから。今後に期待です。

 

 

夜も遅くなってきたので、一旦次回のMTG日を各チームで決定してから初回MTGは終了!やる気満々の勇者たちは果たしてどんなアウトプットを見せてくれるのか・・・乞うご期待!(次回に続く)

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東立電機株式会社 – 「ヒーターを使った新商品を開発せよ」第1話

東立電機株式会社

「ヒーターを使った新商品を開発せよ」第1話

◆文:菰田将司

 

 

企業から与えられたミッションに、学生が取り組む新感覚アルバイト「ミンスタ」。

 

今回は電気部品メーカーの老舗、東立電機株式会社からのミッション。一般消費者には馴染みの薄い「ヒーター」の新しい活用法に、大学生達はどのようなアンサーを示すのか。今回は第1回として、初回ミーティングの様子をお届けする。

 

 

今回のミッションに参加する学生

 

城間純平君
城間純平君 (法政大学4年)

 

立岡佑亮君
立岡佑亮君 (慶応義塾大学2年)

 

 

 

加藤氏 東立電機

保守的な業界に新風を吹き入れたい、そのために若いセンスが必要、と話す加藤貴久社長

 

 

東立電機さんとは?

東立電機編 ミッション (3)

 

「硬い業界に柔らかい考えを持ち込みたい」

 

東立電機株式会社の創業は昭和15年。それから75年、特に工業用ヒーターの開発・生産を行っており、独自の技術力と開発力で、業界に確固たる存在を示している会社だ。

 

 

加藤貴久さんが、親の跡を受けて代表取締役に就いてから5年目になる。現在45歳、アメリカへの留学の経験を持ち、業界に新しい風を送り込もうとする新進気鋭だ。
「まあ、ウチの会社は煙たがられてるなあ、という気はしています。私も業界の慣例とか知りませんでしたし(笑い)。業界の異端児、という感じでしょうか」

 

と加藤さんが話すのには理由がある。

 

 

ヒーターは実に様々なところで利用されている。炊飯器などのキッチン用品やストーブなどの家電、巨大なものになると工業用の金属製成形機の加熱器。他にもプラスチック製品を金型に入れて成形する際、プラスチックを溶かすためにもヒーターは利用されている。非常に裾野の広い商売だ。
「しかし、だからこそ保守的な傾向が強い企業が多い業界でもあるんです。常に需要があり、こちらから新しい用法を提案しなくても、顧客の要求に応えてさえいればビジネスになるというか。これまではそれで充分に採算がとれてきたんです。

 

でも近年は環境が変わりました。中国から安いヒーターを作るメーカーが入ってきた時などは、多くの企業が少なからず動揺しました」

 

 

 

加藤社長が保守的な業界で強気に出られるのも、持っている技術に自信があるから。

 

 

 

そもそもヒーターって?

東立電機編 ミッション (7)

「皆さんの中で、ヒーターとはどういうイメージでしょう?

 

電気ストーブの中に見える赤くなっているところ?確かにあれもヒーターの一種です。ヒーターとは、端的にいえば電気を熱に変える部品の総称です。金属には電気が流れにくい。そこに電圧をかけ、無理に中を通すことによって抵抗が発生し、熱が生じる。

 

基本構造はそれだけのシンプルなものです。しかし、見てくれや仕組みによって多種多様なヒーターがある」

 

 

東立電機株式会社が主力としているのは業務用のヒーター。特にデパートのトイレなどで使われる、すぐにお湯が出てくる蛇口に使われる電気温水器のヒーターのシェアは5割を超える。
「ウチの会社は製品内部の部品を温めるヒーターが得意分野。これらは温めるモノの条件で材質や、設定温度、時間などを細かく設計しなくてはなりません。特にウチが自信を持って推しているのがシーズヒーターです。

 

これは、通電すると高温になるニクロム線を金属管に入れ、その中を独自の方法で固めた絶縁粉末で満たしたもので、外からの衝撃で破損・故障する心配がありません」

 

 

シーズヒーターはコストパフォーマンスがよく、大量生産に向いていて、また加工が容易で色々な形を作れる特長がある。ゆえに業界内でもシーズヒーターは主流で、様々なメーカーで作られているのだが、加藤社長は「ウチは全ての部品を内製で作っているので、部品の調達ができないというトラブルはないし、また一から要望に応えた商品を開発することができる。それが大きな強みです」と話す。
「ウチは部品メーカー。パソコンでいえば、中身を作る会社。だからパソコンのガワ(外側)から変えて新しい商品を作り出すのは難しい。……そういった制約の中から、新しい製品を考えてもらいたい、というのが今回のミッションです」

 

 

ヒーターの業界は保守的。そこに独自の技術で斬り込むために、加藤社長は若い感性を求めた。

 

 

「よく言えばマジメ、悪く言えば閉鎖的な業界です。だから突拍子もないことを考えても面白いなと思っています。しかし、長くこの業界にいて硬くなった頭では、なかなかアイデアは浮かんでこない。

 

……私が期待しているのは、使う人が、自分の生活スタイルから選ぶような、そんな製品です。

 

特にキッチン用品。キッチンにはホットプレートやトースターなどヒーターを使うものが多い。キッチンにそれが置かれるだけで、キッチンの色や空気が変わってしまうような、そういうアイデアが欲しい」

 

……社長の希望を具体的なカタチにしていくために、二人の若いアタマが動き出した。

 

 

 

【Question & Answer】

東立電機編 ミッション (1)

「シェアは? 形状は?」矢継ぎ早に飛ぶ質問に応える加藤社長

 

立岡:新製品を考える上で理解しておかなければならないことはありますか? また、形状によって機能に違いは出るのでしょうか?

 

 

加藤:形状によって機能は大きく変わります。そのことは理解しておいてください。営業や新入社員が一番苦労するのもそこです。これ、と決まっていることはないですが、この大きさではこの温度が限度ですよ、という制限はあります。

パワーや形状・材質など幾つかのポイントを複合的に判断するものなので、逆にアイデアを見てからこちらでベストの形状を考えます。

 

 

城間:作ることができるサイズは?

 

 

加藤:生ゴミ処理機用のものに、長さ150㎜、200度まで上がるものがあります。それが最小で、最長では4mくらいかな。温度は、上げようとすれば900度くらいまでは上げられます。ニクロム線の限界が1000度くらいなので。800度を超えると真っ赤になりますよ。

 

以前は、三菱電機さんからの受注でミニキッチンのコンロ用にたくさん卸していました。今はIHが主流になってしまったので、数は減っています。

 

……ヒーターはIHに比べて半額ほどのコストで作れ、丈夫で、いろいろな形に変えることができるという大きなメリットがあります。またIHは構造的に電磁波が出るので、それをいやがる人も多い。

 

 

城間:中身の部品は、普段意識していないので、とても面白いです。ただ、あまり目立つモノでもないので、合コンとかで自分の仕事をどう説明していたんですか?

 

 

加藤:色々と苦心惨憺した挙句、ホットプレートの中に見える、熱くなる棒を作ってます、というと「ふーん」と言ってもらえるようになりました(笑い)。

もっと分かり易くしてアイロンの中の部品とか。そのくらいしか説明のしようがないし、話が広がらなかったね。ただ、これからオシャレなデザイン家電の中に……となっていけば、女子も興味を持ってくれるかもしれない。

目を引くコーヒーメーカーとか、女子が興味を持つ製品も提案してもらいたいな。

 

 

立岡:どの程度の時間で温かくなるのでしょう? あと、自分は以前バーベキュー場で働いていたのですが、炭を熱くするのに時間がかかり、しかも温度を維持するのが難しかったのを覚えています。そういうものに使うことはできるでしょうか?

 

 

東立電機編 ミッション (6)

加藤:実はもう、バーベキューコンロは展示用に作ったことがあります。その時は一つの種火としてヒーターを使っただけでしたが、炭の熱をキープできるように温度制御のコントローラーを付けることもできます。そうすれば、初心者でも温度の維持が簡単になるのではないでしょうか。

 

熱くなるまで5分くらいは見てもらいたいのですが、まあそれもやりよう。もっと早くもできますが、そうなると熱くなり過ぎたり、電力を多く使い過ぎたりしてしまうので注意が必要ですね。

設定温度をキープする機能を付けるのは簡単ですので、そういう機能を必要とするものには取り付けられます。

 

 

城間:どうして僕たちに新しい製品を、という話になったのでしょうか?

 

 

加藤:現在、ウチは電気温水器や業務用厨房機器がメインの商品です。また、今後はプラスチック成形機にも力を入れ、現在3割くらいのシェアを持つプラスチックの乾燥処理用ヒーターも伸ばしていきたいと思ってます。

 

ただ、こういった業界内の問題もあるのですが、社内ではどうにもならない手詰まり感もあり、ブレイクスルーを、と考えていました。今、新しい人脈も広がり、こうやって若い人とも話が出来ている。イケるな、と感じています。

「保守的だからこそチャレンジのしがいがある」

「いずれ、全てウチの製品のシステムキッチンとか作りたいですね」と話す加藤社長から与えられた今回のミッションは「置くだけでカッコ良くなるモノ」。

 

質疑応答の途中からもう、「最近日本酒を飲む女性も多くなってきている。以前業務用の熱燗マシン作られていたのなら、これをバーとかに置いても遜色ない、オシャレなモノにしてみては」など、様々な意見が生まれてきていた。

 

現在あるもののデザインなどソフトの部分をカッコ良くしていくのか。それともハードな部分から全く新しい使用の提案をするのか。

 

次回は彼らのプレゼンの様子をお届けする。
(第2回へ続く!)

 

 

 

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【動画】ミンスタ って何ができるのか?

ミンスタは、学生がキャンパスの外に踏み出すためのコミュニティです。

そのなかでも

企画とかマーケティングとか広報とか、そういった仕事に興味はあるけれども何をするのかよくわからない、

という人達が集まって企業とコラボしたり、企業からの課題「ミッション」に挑戦したりする場所です。

 

一人ひとりの方が社会人になるスタートラインをどこにするか、

どういった業界や業種が自分にとって楽しいと思えるのかそれを見極めることができます。

 

様々な仕事や人の魅力を通して、学生を本気感染させることを目的とした場所です。

 

例えば、

企業が先生となって課題をだしたり、

学生が考えたアイデアを自分たちで運用したり、

有名企業の経営者に直接話を聞きに行ったり、

狩人や漁師、ホストや刀匠といった学生にとって珍しいキャリアを

歩んでいる人の話を聞いたり、

といった機会を提供している場所です。